デジタルトランスフォーメーションとIoT/ビッグデータ
IoT(Internet of Things)は、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれています。「身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる仕組み」のことです。
モバイルやPCがインターネットにつながっていることは当然ですが、身の回りの、例えば、ドアやトイレ、洗濯機・冷蔵庫、テレビなどなど、あらゆるものがインターネットにつながる世界観です。
冷蔵庫がインターネットにつながれば、庫内の食材に応じた適切なレシピの提案や、不足食材の自動注文などにつながるかもしれません。トイレがつながれば、健康状態のモニタリングや見守り機能を果たすかもしれません。
また、製造現場やビジネス空間においても、あらゆるものがインターネットにつながることで、顧客の体験価値(CX)の向上が期待されています。
この「顧客の体験価値(CX)」は、デジタルトランスフォーメーション(DX)においても一つのキーワードになります。
今までインターネットにつながっていないことを前提にした、顧客への提供サービスが、つながることを前提にすることで、ビジネスの変革に繋がることが期待されているのです。
また、IoTのデバイスから取得されたデータは、クラウド上に保存され、ビッグデータ解析により、新たな知見や洞察の取得が可能になります。
そのために必要な分析基盤やBI( ビジネスインテリジェンス)ツールなどが整備されてきています。
デジタルトランスフォーメーションとブロックチェーン
多様なデータが取得され、そのデータが意思決定や価値創造に意味を持つ時代において、そのデータの改ざん防止・価値保全は大きなテーマになります。
その一つの方策として注目されているのが、分散型取引台帳とよばれる「ブロックチェーン」です。
ブロックチェーンは、中央集権的なシステムを持つのではなく、分散し、ノード同士が管理し合う仕組みです。
そのため、一部のノードで記録の改ざんが行われても、ネットワーク全体での改ざんは極めて困難という特徴があります。
また、一部のノードがサイバー攻撃などを受けデータが破壊されても、他のノードで同一のデータが保存されているため、データの復旧が容易で、すべてのノードが同時に破壊されない限りブロックチェーンが機能し続けることが可能です。
例えば、中国のオンラインショッピングサイトを運営するアリババでは、食品のトレーサビリティーに、ブロックチェーン技術を活用した運用を開始しています。
また、データや価値の保存ややり取りを通常業務で実施している金融機関では、ブロックチェーン技術の業界に与えるインパクトは絶大です。
例えば、日本銀行と欧州中央銀行は共同で金融インフラへの応用の可能性を調査する「Project Stella」などの取り組みを実施しており、パフォーマンスや安全性(可用性)などについて研究が進んでいます。